生徒会長は今日も恋煩う
生徒会長は今日も恋煩う
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インターホンを押す、というたった一つの動作にこんなにも緊張覚えるのは初めてのことだった。
出てくるのがもしかしたら木南さんのご家族かもしれない。
そうしたら俺は同級生だと名乗る他ないだろう。
しかし、今からただの同級生でしかなかった自分が木南さんに告白してあまつさえデートにまで誘うのだと思うと心臓がこれでもかというほど早鐘を打ち始めた。
やっぱり余計なことを考えるんじゃなかった。勢いのままにインターホンを押してしまえばよかったものを。
今更自分の慎重さを嘆いたところで仕方がない。とにかく、やると決めたんだ。
スーハーと深呼吸を繰り返してから、震える指先でボタンをポチリと押す。
聴こえてきたピーンポーンという何とも陽気な音に何だか脱力してしまった。
「はーい」
中から女性の声がした。
木南さん本人か、はたまた木南さんのお母さんかそれとも姉妹か。
いずれにしても緊張感は高まっていく一方だ。