生徒会長は今日も恋煩う
「今日の放課後のこと、ちゃんと話がしたくて」
「ああ、あの事ですか……」
聞かれたくなかったのか、木南さんの表情が少し固くなり視線をそらされる。
せっかくの誘いを意図せずとも断ってしまったのだから当然の報いだ。
俺はまたじわりと滲む手汗を誤魔化すようにグッと握り締めて、深く息を吸った。
「木南さん、俺……本当はすごく嬉しかったんです」
「……え」
「誘ってもらえたこと嬉しくって、でも色んなことぐるぐる考えて、そのうち言葉に出来なくなって……」
「あの、えっと……?」
「ああ、すみません!意味わかんないですよね!だからつまり、何が言いたいかというと……」
ずっと逸らしたままだった視線をようやく上げれば木南さんの瞳とぶつかった。
長い睫毛に縁取られた、丸くて綺麗な瞳。