生徒会長は今日も恋煩う



「私も、会長のことが好きです」


「……え、え?」


「会長はとても真面目でいつだって誰にだって優しいから、ずっと勘違いしちゃダメだと思ってました。けど……もう、勘違いしても、いいですか?」


「……っ」




信じられない。
夢を見てるみたいだ。


頭も体もふわふわして、何も考えられない。




「会長?」




木南さんの不安げな声が聴こえてハッとした。


そうだ、浮かれてる場合じゃない。
木南さんも俺と同じ想いで精一杯伝えてくれたんだ。


俺もちゃんと、その気持ちに答えよう。




「えっと……はい!寧ろ、勘違いしてください」




うわ、どうしよう。嬉しいとか何とか色んな気持ち吹っ飛んで、ただ幸せだ。


けど、まだ幸福感に浸っている場合じゃない。


本当は今すぐにでも木南さんに抱きついてしまいたい気持ちを何とか抑えて、俺はもう一度深く息をした。




「ところで、放課後のお誘いのことなんですけど、俺の方から言わせて貰ってもいいですか」




今度はちゃんと、俺が伝える。




「木南さん、明日一緒にお出掛けしませんか」




問うた俺に、木南さんはいつかのように笑顔を浮かべた。


丸い瞳がくしゃりとして、それから頬がほんのり赤くなって、前よりももっとずっと可愛い笑顔。




「もちろん、喜んで」



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