生徒会長は今日も恋煩う
「ふへ」
ダメだ、だらしなく頬が緩む。洗面所の鏡を前に顔面を引き締めてはみるものの、数分経つとまた表情が緩んでしまう。
昨日からずっと、この調子だ。
何だか俺ばっかり浮かれてるみたいでちょっと恥ずかしいけど、でも嬉しくてたまらない。
幸せの絶頂って、こんな気分なんだろうか。
それとも今以上に幸せなことがあるのか?
だとしたら、きっと俺はその度にどうしようもないほどみっともなく浮かれてしまうんだろう。
なんて、幸せな妄想に浸っている場合じゃなかった。
俺はもう一度鏡で服装や髪型におかしなところがないかチェックをしてから、リビングに居る母親へ聞こえるように「行ってきます」と声をかけて家を出た。
扉を閉めて階段を降りていくと、入口の前にいる木南さんを見つけた。
薄ピンクのスカートと白いブラウスがとても似合っている。
黒くて艶のある長い髪は今日は後ろで一纏めにされていて、いつもとは少し印象が違って見えた。