生徒会長は今日も恋煩う
「会長、行きましょう」
「あ、はいっ」
先を歩きだす木南さんに遅れて俺も駆けだした。
入り口の手前で強面の男性とすれ違う瞬間、一応会釈だけはしておいた。
「あ、あの、木南さん」
「何です?」
「さっきの男性ってその……知り合いですか?」
「ああ、あの人は同じ階に住んでいる柴山さんです。たまにお話したりしてます」
「そう、なんですか」
「見た目はちょっと怖そうですけど、いい人なんですよ」
「へえ……」
さっきはどんな話、してたんだろう。
そんなことまで聞くのは、やっぱりちょっとうざいだろうか。
どこまで踏み込んでいいのか、分からない。
境界線が曖昧すぎて、何もかも言葉にすることを躊躇ってしまう。