生徒会長は今日も恋煩う
「行きましょうか」
「う、うん」
木南さんと通学路を並んで歩きだす。
何となく声をかけるタイミングを見失ってしまって、二人の間には暫しの沈黙が流れた。
「慧太くん、今日は何だか静かですね」
「そ、そうかな?」
「いつもは頑張って話題を振ってくれたりするので」
「あ、ごめん……」
「いえ、別に謝ってほしかったわけじゃなくて……」
ああ、せっかくの木南さんとの通学路。
いつもは楽しくて時間があっという間に過ぎてしまうのに、こんな時ばっかり流れる時間がスローモーションになったみたいだ。