生徒会長は今日も恋煩う
「そ、それに、柴山さんにもちゃんと好きな人いるみたいだし……!」
「そうなの?」
「みたいです。たまにお料理をおすそ分けしに来てくれる人らしいんですけど……」
ああ、そういえば前にも俺の家に来たような……。
近所の付き合いとか、ほとんど母さんがしてるから曖昧だけど。
「あのね、慧太くん。言っても良い?」
「何を?」
「怒んないでね」
「……わかった」
「慧太くんがヤキモチ焼いてくれたの、ちょっと嬉しかった……です」
「………」
そんな風に顔真っ赤にして嬉しそうに言われたら、怒りたくても怒れないよ。
心の中でツッコミながら、俺はいつものように手を差し出した。
「変なこと言ってないで学校行くよ」
「……はーい」
握り返された右手がいつもより少し、熱く感じた。
END
