ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
日記
「……大の大人が、なんって顔してんの、父さん。

も~……ケイも。

ほら、2人とも鼻かんで」


「おぉ……すまん……あ~もう、たまらんわ……」


「だぁってよぉ、……シンラ、かわい、そう、なんだもんよ~……」


「涙と鼻水まみれで、何聴いてんのよ、みんなして。

もー……イサキ、あんたも?

ほらティッシュ」


「ごめん、アカネさん、もう1枚……」


「……みんなしてウキョウさんの部屋に集合して。

なんかあったのかと思って覗きに来てみたら……どしたの、何聴いてんの?」


「しぃ。

今、いいとこなんですよ……。

あぁもう、なんで私はシンラに小型キャーメラつけなかったんですかねぇ……」


「……え、何、それって、つまり……」


「さっきモモ姉がさ、病院行ったろ。

シン兄が落ち込んでるから慰めにってことでさ。

そん時にウキョウさん……」


「ちょほほいっとね。

あーらびっくり周辺の音を見事に拾ってしまうという。

そんな素敵な機械を組み込んだ物を、さりげにモモに持たせましてね……」


「……盗聴器……?」


「いやいやいやいや盗聴だなんて。

そんな、人聞きが悪い。

……心配じゃ、ないですか?

ようやくの再会が、まさかこんな形を向かえてしまうなんて。

先ほどイサキのお母さんから連絡が入りましてね。

シンラのお母さん……」


「うおぉおぉん、シンラ~!」


「あぁもう、やっかましいなぁケイは!

聞こえないじゃない!」


「だぁってよぉ!

義妹と和解して、シンラもお袋さんのことようやく許せたのに……こんな結末なんだぜ!

そんなのってあるか……!?」


「静かに、王。

だから、何があったかをてっとり早く知るために、モモを遣わせたんですから。

シンラは、うなされていた時に彼女をお母さんと間違えたってくらいですからね。

彼女になら胸の内を語るだろう、と踏んだ訳です。

あぁあ私ってば、なんってナイス判断!

……っと、……なにやら義妹さんが。

何か持ってきてたようですね……」


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