レギンレイヴ -Reginleif-

「理事長、教官達、そしてルイ。
軍へ入ったからには、私を特別扱いしないで欲しい。
今まで通りユーリ・ブラントとして見て欲しい…」


「それは出来ない」


直ぐ様、ルイにそう返答された私は、ルイの腕を掴み、理由を問いただした。


「どうして?
ユーリの名のままではいけないのですか!?」


「そうじゃないよ。
君はこれから士官学校ではなく、軍へと配属されるんだ。
今までは女性という事を隠しきれただろうが、軍ではそうはいかない。
名を名乗れと言ってるんじゃなくて、性別を偽って軍に入るのならば、君の配属の話は流す。
男に混ざって生活するのは色んな意味で危険すぎる。
軍にだって女性士官はいるのだから、君もそれでいいじゃないか」


「ルイ…」


「本当ならば、君を危険から遠ざけるために城の奥深くに隠してしまいたい──
だけど、君の想いも解るから…
だからせめて、これくらいは言う事を聞いてくれないかな?」


ルイがあまりにも真剣な表情で見つめてくるから、思わず笑ってしまった。


「クスッ…
ルイったら可笑しい…フフッ…
あのねルイ?
ユーリ・ブラントとして扱ってほしいって言ったのは、男扱いしてほしかったんじゃなくて、特別扱いしてほしくないという意味で言ったの。
男装にはそこまで拘ってないし、ルイが嫌なら止める。
だからねルイ、私を一兵士として扱ってほしい。
そうでなければ、私がここまで頑張ってきた意味が無いもの」


先程のルイの真剣な表情に負けないくらいの真剣な眼差しでルイの目を見る。


「解った。
君が望むなら、そうしよう。
ユーリ・ブラントとして、君を見るよ…
私の婚約者ユライア・フュルステンヴェルグに戻ってもらうのは、大分後になりそうだね。
だけど、ユライア──
例え、君がユライアと名乗れなくても、傍にいるだけで私は嬉しいよ…」


「ありがとうルイ…
私もルイが傍にいてくれると、心強いよ」


私のこの言葉にルイは、穏やかに笑みを浮かべた。
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