レギンレイヴ -Reginleif-
「ただいま!
ヒューゴいる?」


今の私の家がある場所に到着し、中にいると思われるヒューゴを呼んだ。
ヒューゴは、この国にたどり着いた時から始めた鍛治屋の仕事をしていたらしく、仕事場がある家の裏より出てきた。


「お帰りなさいませ。
ユーリ様、今日は遅いお帰りで心配致しまし──ッ!!」


ヒューゴは、私の隣にいたルイの姿を見ると目を見開いて驚いていた。


「あ…貴方様は…」


ルイを見て、かなり動揺しているヒューゴだったが、直ぐに臣下の礼ともいえる形をとる。


「ルードヴィッヒ殿下、この様な形でお会いするのは初めてですね…
私はヒューゲルト・ブラント・ライニッヒと申します」


「貴方の事は知ってますよ。
ヨアヒム陛下の側近の方なのでしょう?
ヨアヒム陛下がレストアに来訪して下さった時はいつも貴方が側に控えていましたからね」


「私めごときを覚えていて下さり、大変光栄にございます」


ヒューゴは先程より更に、頭を下げて言った。


「ヒューゴ、話があるの…」


私は、ヒューゴにそう言って話を切り出した…



















それから私は、先程理事長室で説明された全てをヒューゴにも説明した。
説明を終え、ヒューゴの表情を伺うとやはり、驚いていた。


「そ、それではユライア様は明日から軍へ配属となると仰るのですか!?
それも、殿下自ら率いられる部隊へと──」


「そういう事になるね。
私は、ユライアが名を偽って士官学校に在籍していた事は、以前から知ってはいたんだが、今回の配属の理由は、ユライアだからではなく、純粋にユライアの能力が高い故に抜擢されたんだ。
今回の件は急な事と思いますが、ご了承いただきたい…」


彼が指揮を執る部隊に私が配属されたのは、私の能力によるものだとルイはヒューゴに諭す。


「わかりました…
殿下、ユライア様を宜しくお頼み申し上げます」


深々と頭を下げたヒューゴにルイは顔を上げさせた。


「私に頭など下げなくても良いですよ。
私にとっても彼女は大切な婚約者だからね。
ですから、ユライアの事は私が必ずお護り致しますので…」


「お願い致します…」


頭を下げなくて良いとルイに言われたのに、ヒューゴは再び深々と頭を下げたのだった。
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