離婚、しませんか?
「……許されるなら、側にいてほしい。キミがいてくれるなら、実花が願ってくれたように、こんなオレでも幸せになれる気がするんだ」
「光さん」
「オレは、出会った時からずっとキミが」
「待って……!」

その先を言わせまいと慌てて夫の唇を指先で塞ぐ。

「お願い、待って」

不満そうに眉を顰めても尚、美麗な夫の顔を見下ろしながら、ありったけの勇気を総動員してみる。

夫の本心は、ちゃんと伝えてもらったんだから。
今度は私の番だ。私からも、伝えなきゃ。

深呼吸を一度。
よし。女だって度胸だ!

「私ね、……私も、あなたが…………好き。好きなの」

瞬間、琥珀色の瞳がこれ以上ないくらいに見開かれる。
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