離婚、しませんか?
魔王という名の夫に、愛されています
零れ落ちそうなくらいに見開かれたままの夫の瞳は、羨ましいほどバッサバサの長い睫毛に縁取られていて、その虹彩はこっくりと艶やかな琥珀のように美しくて、何度見ても吸い込まれてしまいそうになるし、固まったままのその顔もやっぱりどこから見ても麗しすぎる美形だった。

……でも、私が好きになったのは、そんな夫の外見だけじゃないと胸を張って言える。

初めは、確かにその姿にときめいたし、今だって、仕草も表情も普通にしているだけでも垂れ流しの色気に当てられてモジモジソワソワ落ち着かない妙な気分になるし。
ああもうとにかくなんでもかんでも素敵すぎて心臓が痛いくらいにドキドキすることなんて日常茶飯事だけれども。
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