離婚、しませんか?
番外編*新婚三ヶ月目☆朝
「お休みなさい」
「お休み、みちる」


ルームライトを消し、スタンドライトの仄かな明かりだけになった寝室に静寂が訪れる。

やがて、規則的な寝息を立て始めたふりをしたオレの気配に緊張を解いた彼女が穏やかな眠りに就いた頃。

オレは起き上がり、二人の間を隔てるようにベッドの中央に置かれた大きなクッションをぞんざいに掴むと足元へと放り投げる。

ーーークソ忌々しいヤツ。

存在感たっぷりの抱き枕を見る眼差しはキツく細められ、視線だけで屠(ほふ)れそうなほどだと自分でも思う。

彼女のお気に入りの抱き枕。
それは、腹を上にしてでろりと寝転んだ姿の、一メートル以上はある三毛猫の形をしたもの。
< 115 / 126 >

この作品をシェア

pagetop