離婚、しませんか?
「心不全だった。ある朝、いつも早起きの娘が起きて来ないからと、様子を見に行った伯母が見つけた時にはもう。あいつは……ベッドに眠ったまま、息を引き取っていたんだ」
「そんな……」
「実花はね、生まれつき心臓に持病があったんだ。色んな制限がある中で、それでもあいつなりに、いつだって明るく笑って頑張っていたんだ。それが、あの日突然……あいつの人生は終わってしまった」

まだ十七で。
未来はこれから幾らでも拓けていけるはずの命が。

そんな風に突然、奪われてしまったなんて。

「夢も、希望も……きっと沢山あったでしょうに……」

その言葉に無言で頷いた夫の瞳は、どこか遠くを見つめているようだった。
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