離婚、しませんか?
「実花は……」

そこから、囁くようにぽつり、ぽつりと語られた夫の言葉を聞き漏らさないようにじっと耳を傾けていた。



『ひーくんにとっては迷惑だって分かってる。でも好きなの!
ずっとずっと好きだったんだもん!こんなに近くにいるのにちっとも私のこと、女として見てくれないってことも、妹みたいに思ってるってことも、全部分かってる!それでもっ、やっぱり、ひーくんがいいの!ひーくんしか好きじゃないっ、お願い、キスしてっ、私のこと、抱いて……っ』

ポロポロと涙を零しながら激情に駆られるままに抱きついて来た実花に押し倒され、ぶつかる勢いで唇を塞がれて思わずその体を押し返せば、オレを跨いだまま、着ていた服を脱ぎ始めた実花に呆然となった。
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