シグナル
ルイスの決定に異論を唱えたのは、
この部隊で参謀役を務める、
トーマス准将であった。
「なんだ!
私の決定が不服なのか?」
「隊長の下した判断が正しいのであれば従います、
ですが私はそうは思えません!
今の時期、
この暗闇の中を進むのはリスクが高すぎます!
何より敵の戦力がどの程度か分かりません、
おそらく単純に兵士の数だけで言えば、
我々の兵力をはるかに超えるでしょう…
それに先日別動隊として、
敵軍の捜索に向わせた者たちがまだ帰りません、
その為我々本隊は更に兵力を落としてしまっています、
この様な状態にもかかわらず、
我々の部隊だけで攻め込むなど自殺行為です!」
【この別動隊とは、
デイビット中佐率いる部隊のことであった】
彼らは一個小隊としては、
最大規模の勢力であり、
そして優秀な部下を揃えていた。
当初彼らは敵軍の兵士を探し出し、
活動拠点を突き止める事が任務であったが、
テリー達と一戦交えたあの日、
深夜テリー達を見張っていた彼らは、
自分達が見張っている事に気付かれたのではないかと感じ、
仕方なくデイビットは先手を打ち、
攻撃を開始したのであった。
だがもし近くに味方が居り、
応援を呼ばれてはまずいと思ったデイビットは、
その前にたたいてしまわなければと思い、
深追いをしすぎたのであった。