シグナル
「えぇ、まぁそうですけど…」
首を傾げて考え込む安藤。
「どうしてだろうな?」
それに対し、
青木が少し自信なさげに意見を述べる。
「私思うんですけど…
あの子の両親は、
さっき来たあの二人で間違いないと思うんです」
「どうしてだ?
二人ともあの子が息子である事を否定してるんだろ?」
「確かにそうです!
でもそれは、
ただ単に息子が犯罪者になってしまった事を認めたくない為に、
ついてしまった嘘ではないかと思うんです」
「何故そう思うんだ?」
「理由は二つあります、
一つはあの二人以外に、
あの子の親ではないかと言う人が、
依然現れていない事、
そして二つ目は、
二人とも一度は、
あの子の事を息子と認める様な発言をしていた事にあります」
「でもそれだけで決め付けるのは、
どうかと思うがな?」
「私も最初はそう思いました、
でも考えれば考えるほど、
二人が嘘をついてる様にしか思えなくて仕方ないんです!」
「そうかぁ、確かにあの二人の他に、
自分の息子ではないかと言う人は来ていないし、
何より問い合わせすらないものな…
ところで青木、
さっきの二人だが連絡先等は聞いたのか?」
「いいえ、聞く間もなく帰ってしまったもので…」
「そうか…他にあの子の保護者と思われる人が現れない以上、
もう一度詳しく話を聞いてみた方が良いと思ったんだが…
ちょっと住所を調べてみてくれないか?」
「分かりました、やってみます!」
その時青木が住所を調べに向かおうと後ろへ振り向くと、
その視線の先に武雄の姿が飛び込んできた。
それまでの暗く沈んだ声から一転して、
明るく弾んだ声で声を掛ける青木。