シグナル

続きをケイが語り始める。

「それでね、

ここに入った時に偶然見付けたんだけど、

あそこにひび割れしているのが見えない?

明るくなると、

あそこから僅かに明かりが射すのよ、

それで昼か夜かの区別はつくの…

ただしこの中に居ると、

時間までは判らないでしょ?

それも外に出れば、

太陽や月の位置で大体だけど判るのよ、

これで分かった?」

「うん分かったよ!」

本当はこの世界に迷い込んで来た時から思っていた事があった。


ここの建物は近代的な物とは違い、

全てレンガで出来ていた為、

建物の強度はあまり強くないように思える。


それなのに彼らの持つ銃や装備などは、

立派な物であり古さを感じさせない、

その為時代背景がまったく分からず、

武彦にはその事の方が疑問に思えていた。


しかしテリーが言っていた、

『武彦自身がこの世界を作り上げた』

という言葉を思い出し、

よくよく考えてみると、

いつもゲームを作る時、

時代設定などまったく考えずに、

ゲームを作っていた事に気付いた。


そんな時であった、

「じゃあもう寝よう」

テリーがもう一度促すと、

見張りの二人を残し眠りにつく五人。


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