彼女の涙の理由
〜文恵の想い〜
~文恵side~
お兄ちゃん。
私は3日目で目を覚ました。
でも、目が覚めた時、いつもの私じゃないことがよく分かった。
私は人の心の中が読める。
刺される前はそんなことなかった。
もともと、何かの異変には気付きやすかったけど。
でも、それとは違う。

ちゃんとした

『人の心の中を読める能力』

なんだと思う。

【良かった生きていてくれて。愛しているよ、文恵。君を失いたくない。家族として。】

これって…お兄ちゃんの心の中?
私のこと、好きじゃなかったの?

【僕は彼女を好きになってはいけない】

私が義妹だから?

「そんなの関係ないよ。」

「文恵?…ど、どうしたの?」

この能力は秘密にしといた方が良さそう。

「なんでもないけ!気にしないどって?」

「そうか。ならいいよ」

このまま隠しているのも辛いかな。




だって……


私、お兄ちゃんの事前から好きだったんだよ?



~13年前~
「ママぁ!ック…マァ…マァマァ!…」
私は迷子だった。
その日は確か年に1回しか開催しない夏祭り。
屋台がたくさん並んでいて、私は初めてのお祭りだったからはしゃいでた。
お母さんとはぐれてから、泣きながら探していると、

「ねぇ?迷子?あそこにいるのお母さんじゃない?」

「ぇ?ッ…!マァマ!!」

その時に助けてもらったのが優太お兄ちゃん。
ちゃんと顔覚えてたから両親が再婚した時とても嬉しかった。
ずっと、好きだって言えると思った。なのに…
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