すれ違う未来
久しぶりに入ったコイツの部屋。
俺の部屋の合鍵をコイツに渡してからは、俺がこの部屋に入ることはなかった。
・・・懐かしさに胸が苦しくなる。
部屋の所々に俺の部屋から持ち帰ったのであろう小物類が並べられている。
・・・捨てられた訳じゃなかったのか。と嬉しくなる。
ワンルームだから、全てが俺の目に入ってきた。

俺とお揃いだった茶碗が小さな食器棚に並んでいるのを見て、確信した。
コイツは俺のことを忘れてなんて居ないのだと。
もう一度、やり直す事ができるはずだと・・・。

「どうぞ」
コーヒーをテーブルに置いて、コイツは俺の正面に座る。
「ありがとう」
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