すれ違う未来

「あの、さっきの、幸せになれないってどういう意味？」
コイツは困惑している顔をする。
「俺は、結婚したら、嫁さんは家庭に入って欲しいと思ってた」
「え？」
「だから、お前が俺の家の事をしてくれる時に、どこまでできるのかな・・・なんて目で見てたんだ」
「え？」
「俺は、ずっとお前との将来を意識してたんだ」
「・・・嘘・・・」
「嘘じゃないよ。　俺、家事は得意なんだけど、手伝いもせずにお前に全部してもらってただろ？」
「・・・家事が得意？」
「ああ。　一人でなんでもできるよ」
「じゃあ、料理も洗濯も自分でするの？」
「する。　お前が来ない日は自分でしてた。　お前が来ても不快にならない様に気を使ってるつもりだったけど気づいてなかった？」
「自分で？」
「自分で。　他に誰がしてくれるんだよ？　お袋は地方だし」
「お母さんなんて思ってないよ・・・」
え？まさか・・・。
「・・・もしかして、それが理由？」
「え？」
「他の女に家事をさせてるって思ってた？」
「あ・・・あの・・・」
コイツは困った顔をして俯いた。
・・・肯定してるってことか・・・まさか、部屋を綺麗にしていたことで浮気を疑われていたなんて。
全くそんな事に気づきもしなかった。
じゃあ、コイツは俺の部屋に通うようになって、ずっと他の女が来ているのかも？と不安に思っていたってことか？