すれ違う未来
「あの・・・ごめんなさい」
私が言うと、彼は
「謝んなくてもいいよ・・・ただ、この部屋でお前を抱いてみたかったんだ。
俺の我儘だよな?」
「この部屋で?」
「ここは俺がこの家を出るまでずっと過ごしてきた部屋でさ。
ここでお前との思い出が欲しかったんだよな・・・」
「どういう事?」
「・・・この家での思い出は寂しいという感情ばかりだったから。
お前との幸せな思い出、欲しかっただけだよ」
と彼は寂しそうに笑った。
「・・・他の人との幸せな思い出あったりしないの?」
私は訊かなくてもいい事を訊いてしまう。
「えっ・・・と・・・それは・・・」
ああ、訊かなければ良かった。
彼は、この部屋で他の女性を抱いていたんだろう。
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