一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
一瞬にして包まれる、彼がつけているミントブルーの香りにドアノブを握ったまま、身体は硬直してしまった。


なのに南さんは苦しいほどギュッと抱きしめてくる。

彼の髪が頬に触れてくすぐったい。

そして南さんは私の耳元で擦れた声で囁いた。


「さっきのなに……? 自分にとって都合がいいように解釈してもいいの?」

「あの……」

息が詰まる。ドキドキし過ぎてうまく呼吸できず苦しい。


どうして私、こんなに胸が苦しいほどドキドキしちゃっているの? ただ単に異性に抱きしめられているからじゃないよね? 相手が南さんだから、こんなにも胸が苦しいんだよね?


抱きしめられた状態では、胸の鼓動が彼にも伝わってしまっているはず。

「ミャー……こっち向いて」

甘い声に胸が騒つく。

真っ赤な顔の状態で向けるはずない。でも――。

「お願い、ミャー」

彼は私を抱きしめる腕の力を弱め、私の身体を自分の方へ向かせた。
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