一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「いかがでしたか? 以前の颯馬とのデートは。意外な場所すぎて驚かれませんでしたか?」

「え……デートって……」


笹本さんが言っているデートって、あのデートだよね? 上野動物園に行って浅草に連れて行ってくれた。

南さん、彼女にそんな話までしちゃっているのだろうか。


「予想外でした。あんなデートコースを提案した颯馬を、お嫌いにならなかったのが。てっきり水谷さんも、颯馬のスペック目当てのお安い女性かと思っておりましたので」


「……っ!」

表情を変えずに淡々と述べられたけれど、嫌味を言われているのは理解できる。

お安い女性ってどういう意味?

カチンときてしまい、思わず言い返してしまった。


「あの、私は別に南さんの家柄が目当てとかじゃありませんから!」


きっぱり否定すると、初めて笹本さんの眉がピクリと動き、反応を見せた。けれどそれも一瞬で、すぐに表情を整え咳払いをした。


「それは失礼いたしました。……では、率直に言わせていただいでも、よろしいでしょうか?」

「なんでしょうか」

身構えると、鋭い視線を向けられた。
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