理想の人は明日から……
一流ホテルの会場の入口に、十人の和装の女性が並ぶと、さすがに華がある。
緊張して並んでいると、部長が近付いて来るのが目に入った。
部長の、いつもと違う高そうなスーツ姿に、私の胸はキュンとなった。
部長はじっと私を見ていた。
「綺麗だ……」
部長は、いつものチャラ部長の目では無く、そうかと言って仕事の厳しい目でもなかった。
始めてみる、優しくて熱い目だった。
祝賀パーティは盛大に行われ、大勢のお客様への対応に追われていた。
お客様へ粗相があってはならないと、必至に務めた。
中には外国の方もいらっしゃり、何とか英語で答えられ、ほっとした。
「英語もしゃべれるなんて、さすが南さん……」
声のする方へ顔を向けた。
「あっ、岸田さん……」
私は、あの強盗事件から、理想の人、岸田さんの事をすっかり忘れていた。
「元気になって良かった」
「ご心配おかけしてすみません……」
私は頭を下げた。
「いいえ、もっとあなたを助けたかったんですが、僕の出る幕は無いみたいで……」
岸田は部長の方へ目を向けた。
「そ、そんな……」
「今日の南さん、とても綺麗です…… 部長に睨まれるのを覚悟で声かけました。でも、一緒に食事の約束は、叶えてもらえそうにないですね……」
「ごめんなさい…… 約束していたのに……」
「いいえ。本当に元気になって良かった」
岸田は優しくて少し淋しそうな笑顔で去って行った。
すると、スポットライトがステージを照らし、社長の挨拶が行われた。
そして、マイクが司会者へと移る。
「それでは、新副社長の挨拶へと移らさせて頂きます」
ステージに上がったのは……
緊張して並んでいると、部長が近付いて来るのが目に入った。
部長の、いつもと違う高そうなスーツ姿に、私の胸はキュンとなった。
部長はじっと私を見ていた。
「綺麗だ……」
部長は、いつものチャラ部長の目では無く、そうかと言って仕事の厳しい目でもなかった。
始めてみる、優しくて熱い目だった。
祝賀パーティは盛大に行われ、大勢のお客様への対応に追われていた。
お客様へ粗相があってはならないと、必至に務めた。
中には外国の方もいらっしゃり、何とか英語で答えられ、ほっとした。
「英語もしゃべれるなんて、さすが南さん……」
声のする方へ顔を向けた。
「あっ、岸田さん……」
私は、あの強盗事件から、理想の人、岸田さんの事をすっかり忘れていた。
「元気になって良かった」
「ご心配おかけしてすみません……」
私は頭を下げた。
「いいえ、もっとあなたを助けたかったんですが、僕の出る幕は無いみたいで……」
岸田は部長の方へ目を向けた。
「そ、そんな……」
「今日の南さん、とても綺麗です…… 部長に睨まれるのを覚悟で声かけました。でも、一緒に食事の約束は、叶えてもらえそうにないですね……」
「ごめんなさい…… 約束していたのに……」
「いいえ。本当に元気になって良かった」
岸田は優しくて少し淋しそうな笑顔で去って行った。
すると、スポットライトがステージを照らし、社長の挨拶が行われた。
そして、マイクが司会者へと移る。
「それでは、新副社長の挨拶へと移らさせて頂きます」
ステージに上がったのは……