俺様社長に飼われてます。
「何をしてる」
うずくまるようにして泣いていると、後ろで扉が開く音と待ち望んでいた愛しい人の声が聞こえて私は顔を上げた。
涙でぐしゃぐしゃになった私の顔を見た高山さんは眉間のしわを深くして、私の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。扉が静かに閉まる。
「誰かに泣かされたのか」
高山さんの言葉に首を横に振る。
否定はしたものの、しゃくり上げて上手く喋ることのできない私を宥めるように高山さんは抱きしめた。幼い子供あやすように、一定のリズムで背中を叩かれて頭を撫でられる。
こんなんだから、大人の恋が何かわからないんじゃないか。
「……いて、」
「ん?」
よく聞こえない、と言うように高山さんが自らの耳を私の唇に寄せた。
私は息を整えて、もう一度言った。
「抱いてください、私のこと」