叫べ、叫べ、大きく叫べ!
「どっか行くの?」
「うん」
こんなところに居るより自分の時間を大切にしたいし。
なにより、この静けさが気まずい。
本音は胸の中へしまってただ頷くと、都波はやっと声に出して私を引き留めようと手を掴んだ。
ちょ、ちょっと。なに人前で。
やめてよ。この手離して。
ほら、あんたの友だち見てるから。
「は、離してっ」
そう言っても手を緩めることなく、さらに力が加わって、少し痛い。
キッと睨むけれど彼には痛くも痒くもないようでお得意の笑顔でかわされてしまった。
「本当に離してよ。買いたいものがあるの」
「じゃあ俺もついてく」
「いいです」
あー。本当に嫌だ。
この人も、この人の友だちも。
周りの人間も、みんな嫌い。
そんな目で私の事見ないでよ。
「だいたい、なんでここに私を連れてきたわけ?私は何しにここに来たの?来させたの?何が目的なの?」
あえて都波から視線を外して、その他4人を見回した。
私を見ているのは糸口くん以外で、まるで傍観者のように黙って私をじっと見ている。
その視線が酷く痛くて、この場に居たくなくて、それなのに怖気づいて、唇を噛むことしか出来なかった。