叫べ、叫べ、大きく叫べ!

そうは送ったものの、テキトーにと言われてもほとんど初対面なわけで、いきなり名前で呼んでいいものか悩んでしまう。


2人は早速私を下の名前で呼んでくれているのに。


これが陰と陽の差……というのかな。


今まで独りでいたからこの状況に慣れてないっていうか、どう人と接したらいいか分からないんだ。


“ともだち”


その響きは随分前に置いてきた。私には必要ないと思って、今まで避けて通ってきた道だから。

羨ましいと思いながらも、このまま独りで生きていくと決めていた。

私は根暗だから。避けてるから。そんな暗いオーラを纏った人と一緒に、ましてや友達に誰がなりたいと思うのだろうか。


……それなのに。



あやか<【同クラだけど友達としてもよろしく!】

めい<【夏澄ちゃんこれからもよろしくね!】


西村さんと立石さんは私を『友達』だと言うんだ。


今日ちゃんと声を交わしたばかりで、連絡先交換したばかりの私を。


『これからもよろしく』って。
『友達として』って。


胸が、喉が、目頭が、熱くなった。


私に“ともだち”という存在ができてしまっていいのだろうか。
だけど、羨ましいと思っている自分が勝っていて。


気付けば、指を滑らせて【こちらこそよろしくお願いします】と送っていた。

< 109 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop