叫べ、叫べ、大きく叫べ!
その夜。
少し暑いこの部屋にすきま風が入りカーテンがふわっと揺れた。
それをまだ寝付けずにいる私はぼんやり眺めている。
頭を空っぽにしたくて急いでお風呂に入ってこうしてベッドの中に潜っているのに、延々とあの悲劇のような場面が脳裏に映し出される。
勝手に流れてくる熱いものは枕元をシトシトと濡らしている。
『あんたなんか要らない』
そう言った母の顔はまさにその言葉通りなんだろうなって。
あの言葉は酷く胸を抉った。
そう言うのなら、どうして私を産んだの?
率直な疑問を抱きながら、重たくなってきた瞼をゆっくり閉じていった。
また、夢でもみるのだろうか。
ならせめて、私が癒されるような夢がいい。
今はとくに。
可愛らしいお花に囲まれて、犬でも猫でも、馬でもシャチでも、音でも、香りでも、なんでもいい。
私を癒してくれる“何か”。
夢の中に都波が出てきたって構わないから。
暗いところじゃなくて、もっと優しい世界へ。
睡魔は急激にズシッとのしかかってきて、ようやく夢の中へ。
――……だけど、夢は見なかった。それよりも――。