叫べ、叫べ、大きく叫べ!

そして、それは突然現れた。


また、“アノ”重みが私の腰周りにやってきたのだ。


今日は色んなことが起こりすぎだ。

そう思いながらもこの重みを嬉しく思っていた。待っていたから。


そして今回はちゃんと温かみを感じた。
自分の腰に手を当てるけれどやっぱりそこには物体など無くて、でも温かさはあって。



「ねえ、あなたは誰なの?」


腰に目を移した私は、久しぶりに見たぼんやりと白く光っている手に話しかけた。


返事なんて返ってくるはずもなく、手はそこでじっとしている。


だけど一瞬、ぴくりと返事をしたかのように小さく動いた気がした。



「……あなたは人間?それとも、死神とか何か?」


ポツリと呟いた声にしばらく反応を待ってみたけど、なんも示さなかったから“見間違えか”なんて残念に思う。


ふと思った。


偶然にもこの手が現れるのは、酷く気が滅入っている時なんじゃないかって。


あの時初めて見たヒトの(シルエット)だって、この手を初めて見た時だって、必ず現れる前は酷く病んでいる時だった。

……そんな気がする。


そもそも、この手はあのシルエットと同一人物なのかな。

あれは背格好的に男の人。断言はまだ出来ないけど。

でも、この手は確実に男の人。


綺麗で、骨張っていて、なお大きいことがポイントだ。


知らない人は怖いけれど、この温かさは好きで。別にいいかなって思ったり……。


途端に都波の顔が浮かんで、『好き』と言った声も蘇ってきて、ドキンと胸が高鳴った。


振り払うように寝返りをうった。

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