叫べ、叫べ、大きく叫べ!
「……ん、なぁに……」
「いや、あの、その、そこ……」
カタコトになったのは彼が寝ぼけた声に胸の奥が疼いたからではなくて、
やっぱり見覚えのあるその顔に確信が持てたからだ。
とろんとした目は私を見ているのか分からないけれど、吸い込まれそうなくらい深くて、見つめ返してしまう。
するといきなりガバッと頭だけ起こして辺りを見渡した。
私はたまらず驚く。
「……えっ、ここどこ」
「あの、」
「あ」
一通り見渡した彼は私を見るなり眉をひそめて、ぱちくりと瞬きをする。
まるでさっきの私のようだ。
何が起こっているのか現状がつかない状態。
「あんたあの屋上の……」
「あ、うん。はい」
私が誰だか検討がついた彼はそう言って静かに起き上がり、私と同じように正座をした。
お互い見つめ合うなり、私は苦笑いを。彼は首を傾げていた。
「なんで俺ここにいるの?」
「いや、私に聞かれても」
「……だよなぁ」
ははっと笑った彼はしばらく考え込んだ後、思い出したようにひとり頷いた。
そんな彼を見て思う。
この熱帯夜の中、パーカーを着ているのは暑いんじゃないか。
私でさえ、半袖に短パ……!
慌てて近くにあった枕を太ももに被せた。
彼はそんな様子に気付くことなく、私の部屋を見渡している。