叫べ、叫べ、大きく叫べ!
「ね、ねえ。それ、暑くないの?」
「え?」
彼は指をさした方に視線を向けて『これ?』とパーカーを摘んだ。
うんと頷くと、「あー」と小さく唸ってから天井を見上げて何やら考えている。
返答を待っていると、視線を私に向けてまた唸って、また天井を見て……。
いつまで経っても同じ動作をする彼に痺れを切らした私はふぅと息を吐いた。
「別に言いたくないなら無理に言わなくてもいいよ」
「…………」
「な、なによ。誰だって言いたくないことは一つや二つあるでしょう。別にそこまで気になってるわけじゃないし、ただ暑くないのかな?って思ったから聞いただけ」
なんか言い訳みたいな言い方になっちゃったじゃん。
言い訳じゃないし。何も私悪いこと言ってないし。
あなたが黙るから……。
「暑くないよ」
「え、」
「残念だけどこの格好いつもなんだよね」
「え、ホントに?いつもって一年中ってこと?」
「そ。まあ、この“状態”の時だけなんだけど」
彼は体勢を崩して、胡座をかいた。
これがラクな姿勢なのかなと思いつつ、私も体勢を崩す。
彼の言った『この状態』っていうのは、まさに姿は見える幽霊のような存在を言っているわけで。
白くぼんやりと見えている彼は、つまり……。
頭の中で整理をしてみる。