叫べ、叫べ、大きく叫べ!
結局、考えはまとまらず先に彼が口を割る。
「俺、そういう体質なんだよね」
「体質って、」
「幽体離脱ってやつ」
ゆうたいりだつ……?
それを聞いた瞬間真っ先に思い出したのは、昔流行っていた芸人さんのネタだった。
それとこれとは別ものだと分かっているのだけれど、想像つきやすいので自分の中では有りかなって。
そう思った瞬間、ククと喉を鳴らした彼は笑っていて、不思議に見る。
「そ。それであってるよ。解釈的には」
「え、何言って、」
「ごめん。聞くつもりはなかったんだけどこの状態の時は人の心まで読めるんだよね」
ははっと笑う彼はなんだか恥ずかしそうっていうより、悲しそうに見えた。
ふわっと少し開けていた窓から風が入ってきて、カーテンが揺れる。
月が顔をのぞかせているみたいで、ちょうど月明かりが彼を照らして、さらに白く光って見える。
「ごめん、なんか気持ち悪いこと言った。ちょっと気抜きすぎたか、」
「すごいね」
「え、」
「なに驚いてるの。全然気持ち悪くないよ。逆に凄い才能って感じ? ……なんて言えばいいか分からないけど」
いつまで私をぽかんと口を開けたまま見ているのだろう。この人。
瞬きなんて全くしていない。時が止まっているみたいこの人だけ。
でも、本心だからそう言っただけ。