叫べ、叫べ、大きく叫べ!

「これって……」

「そ。寝てる俺と繋がってるって証拠」

「へぇ、本当に繋がってるんだ」

「だからちゃんと戻れる。安心しなよ」


フッと笑う彼に「別に心配なんてしてないからっ」と言うと「あっそ」なんて軽くあしらわれて、分からないけれど、その言い方が胸を高鳴らせた。



「じゃ、お邪魔しました」

「うん。気を付けて」


丁寧なお辞儀に私もならってお辞儀をした。

急激に寂しさが募って、なんだか泣きそうになる。


……変なの。こんなの私じゃない。こんな、人に対して寂しいだなんて。
だって、そんな感情は捨ててきたはずだから。


思えば今月に入ってからだ。私には必要のない感情が突然湧き上がってくるようになったのは。

これも全ては、あいつ……都波が私に付きまとってくるせいだ。


ふと気配を感じて、視線を上にあげた。

彼は私に目線を合わせるように屈んでいて、何を思っているのか分からないけれど、頬に手を添えている。


空いた手は上の方に持ち上がっていて、少し上を向くと微かに動いている手は私の頭を撫でているようだった。



「……何してるの」

「んー。何となく」

「何となくって……こんな事されても何も感じないし」

「まぁね。俺も触れてるか分からないし。でも『寂しい』んでしょ?」

「っ、」


今のはずるい。この能力使うのは。

< 97 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop