叫べ、叫べ、大きく叫べ!

――新たな週がやってきた月曜日。

あと4日学校へ行けば夏休みがやってくる。


周りは嬉しそうに、待ち遠しそうにわいわいしているのを聞いていると羨ましいなと度々思う。


そして、今年は嫌というくらい。



「ねえねえ夏澄ちゃん。夏休みどっか行かない?デートしようよ!」


しつこく都波が迫ってくる。


今日で何回目?朝からずーっとこの調子。もう耳が痛い。塞ぎたい。都波から逃げたい。屋上へ行きたい。


授業の合間ぐらい口塞げられないの!?
ほんとしつこい。うるさい。


……でも、こうするのも私を好きだから。なんだよね……はぁ。


そう思うとどうしても中途半端に出来ない自分がいて、困る。


都波の気持ちを知らないでいたら、もっとキツく言い放していたかもしれないのに。なんて不自由なんだ。


目の前でニコニコ話す都波をひと睨みすると「?」と首を傾げるさまにさらにイラつく。



「ねえー夏澄ちゃん俺とデー、」

「行かないって何度も言ってるじゃん」

「なんでよ。楽しいよ?俺とデート」


なに自分で言ってるんだこの人……。
さすがに引くよ。


ていうか、周りの視線が痛い。
都波は分かっているのだろうか。この視線を。

しかも朝からということを。

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