あの日を
***
昼寝をしてしまったことで、あっという間に夕方になってしまった。
早くしないと、彼が帰ってきてしまう……!
驚いた顔を見たいから、作った状態で彼を迎えたいと思っていた私。
飛び起きると、すぐにハンバーグ作りに取りかかった。
……何とか彼が帰ってくるまでに作り終えたが……待てど暮らせど彼は帰ってこない。
残業しているのだろうか?
仕事熱心な彼だ。ありえない話ではない。
目の前ですっかり冷めてしまった料理を見ながら、私はボーッと彼の帰りを待った。
それでも彼は帰ってこない。
部屋に響き渡る時計の音が、私の気持ちを不安にする。
外はすっかり暗くなっているし、スマホを見ると21時と表示されていた。
あまりに遅すぎる……。
さすがに心配になって、彼に電話をかけようと決心する。
仕事中に連絡をするのは、あまり好きではないのだが、今回は仕方ない。
通話ボタンを押し、コール音が鳴る。
……1回……2回……3回……
『──おかけになった電話は現在使われておりません。』
「…………えっ?」