time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
あたしの目は可笑しくなったのだろうか?


それとも頭が可笑しい?


「なんか間抜け面してるぞ?」


「カナは元々でしょ。ギャハハ。」


懐かしい……


この顔ぶれも、この声も……


会話の内容も何もかも……


あの頃と同じ。


「さっさと中に入れよ。」


「豊、だって……」


だってね、ずっとずっと会いたかったみんなが、戻りたかったあの頃が、あたしの目の前にあるの。


もう乾いてしまったと思っていた涙が次々に零れ落ちる。


「豊ぁ~。」


言いたいことは沢山あるのに、言葉にならない。


そんなあたしの頭にふわっと温かい感触が。


「泣いてねぇで、中行くぞ。」


ねぇ、豊。


どうしていきなりこんなことしたの?


どうしていきなりあの頃の豊に戻ったの?


あたしはその事が未だに気になってるんだ。
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