国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
ルチアは彼らが心配だった。

この労働は賃金をくれるとはいえ、強制しているようなもの。

どうにかしてこの労働が身体を壊さずにすむのか、ルチアは考えていた。

その日の労働が済むと、島へ送られる帆船の甲板でバレージを見つけたルチアは彼に近づく。

「バレージさま」

ルチアの声に海を見ていたバレージが振り返る。

「なんだ?」

声は冷たく響く。

「お願いがあります」

ルチアは伏目がちで低姿勢になる。

「願い? それはなんだ? こんな労働より貴族の妾にでもなるか?」

バレージはフンと鼻で笑う。

「違います。交代制にして、労働を一日おきにしてほしいのです」

「なんだと!?」

バレージの片方の眉がギュッと上がった。

「このままでは数日のうちにみんなが倒れてしまいます。そんなことにならないように一日おきにしてほしいのです」

「それはダメだ。国王は一日も早く見つけたいと考えておられる。国王の意思に背くのなら反逆罪で牢屋送りだぞ」
 
バレージの冷たい言葉にルチアは肩を落とす。

「病気にでもならない限り潜れ」

それだけ言ったバレージはルチアの元から去って行った。

(はぁ……全員が病気になったらどうするの?)

ルチアは甲板の手すりにもたれて遠くをぼんやり見ていた。


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