国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「わかった。また明日来てほしい」

「えっ!?」
 
ルチアは耳を疑った。

「明日は島の人たちの休養日にする。昼間、時間のある時に来てほしい」

「……わかりました」
 
アローラに借りている服もある。

朝洗えば午後もそう遅くならないうちに乾いて持ってこられるだろう。そう考えてルチアは返事をした。

「警備の者に送らせよう」
 
ユリウスの言葉にルチアは思わず笑ってしまう。

「なにがおかしいんだ?」
 
ユリウスは笑うルチアを不思議そうに見る。

「島で危ない目に遭うことはないので、ひとりで大丈夫です」 
 
ルチアはユリウスに頭を下げると、船を下りた。
 
ユリウスはその様子を甲板に出て見ていると、隣にジラルドがやって来る。

「ずいぶんあの娘を気に入ったようですね」
 
ジラルドは淡いブロンドが見えなくなるまでその場にたたずむユリウスに言う。

「美しい娘だ。あのように美しい娘がこの小さな島にいたとは驚きだ」

「たしかに美しいですが、教育も受けていない娘です。お構いにならない方がいいかと」
 
ジラルドの言葉は今のユリウスに届いていない。

ユリウスはなぜか彼女に惹かれていた。海で泳ぐ姿を見たときから。


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