国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
翌朝、起きないルチアを起こそうと、祖母が近づく。ルチアは背を向けて寝ている。

「ルチア、起きなさい」
　
いつもは誰よりも早く起きるルチアが起きず、よほど疲れているのだろうと、肩に手を置いた祖母は驚く。

「ルチア!?　熱があるじゃないか！」
　
額や首筋から吹き出す汗。

「ん……おばあちゃん……もう少し寝かせて……」
　
ルチアは起きようと思うのだが、身体が重く、頭も鈍器で殴られているように痛んで目が開かない。

「当たり前だよ！　今、薬草を煎じてくるからね」
　
祖母が薪のある外へ出たとき、ジョシュが帰ってくる姿が見えた。
　

早朝、長老から話があると、島の男たちが呼ばれたのだ。

「ばあちゃん！　今日は潜らないでよくなったんだ！」

「そうかい。それはよかった。みんな疲れているからね」
　
ジョシュの話を聞きながら、祖母は鍋に薬草をちぎって入れている。

「ばあちゃん、どうしたんだ？　もしかしてルチアか？」

「ああ。酷い熱を出している」
　
ジョシュは即座に小屋の中へ入り、ルチアの様子を見る。
　
ルチアは苦しそうに眠っていた。

「ルチア、大丈夫か？　つらいだろう」
　
布で汗を拭いていると、ルチアがうっすら目を開ける。

「ジョシュ……ありがとう……今日は……っ……はぁ……」

今日の労働は行けないと言おうとするも、頭の痛みに襲われる。

「今日はみんな休みになったんだ。だから気にせずに寝て治せよ」
　
そこへ祖母が濡らした布を持ってくる。ジョシュは受け取ってルチアの額にそっと置いた。

「煮詰まるまでもう少しかかる。ルチアを見ていてくれ」

「ああ。ばあちゃん」
　
ジョシュは熱に苦しむルチアの汗を拭きながら見守っていた。


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