神にそむいても
うたさんは私をじろじろと値踏みするように警戒しながら、少しだけ距離を置いて歩く。
「はぁ~、姫さまには困ったこと。まったく、うちの姫ときたら……」
ぶつぶつと明らかに私にきこえるように不満をつぶやいている。
この様子だと、こういう困りごとは日常茶飯事なんだろうな。
土間のような場所に案内される。
そこには木でできたバケツのようなものに水が張っていた。
「そちらでお顔や手を洗われてください。
お召し物はこちらを用意させていただいております故。
私、近くで控えておりますので、着替えがお済み次第お声掛け下さいませ」
どこの馬の骨ともわからない小娘に対して丁寧に話してくれる。
怪しいながらも、仕えてる姫の命令は絶対なんだろうから、大変だなぁ。
姫の衣装と比べると質素な服を身にまとっているうたさん。
これって身分の差とかなんだろうか?
そんなことをぼんやりと考えながら、服を脱いで汚れてる部分を水で洗い流す。
口すすぎたい。
けど、水はこれしかないし。
水道?
ないし!
このバケツの水を口に入れるのは抵抗あるし!
あー、もうっ!!
夢の中までこんな不快感、リアルじゃなくていいっつうの!
てか、これって夢を見てるんだよね?
自分がどこにいるのか。
もうワケがわからない。
智がいないから、夢だと思う。
さて!
ウダウダ悩んでも仕方ない。
とりあえず服着るか。
だけど、私。
この衣装、自分一人では着れない……。