【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
バスの席も、自由行動も、食事の時間も、安里は1人だった。

彼女たちはそこに自分がいることを忘れているかのように、修学旅行を楽しんでいた。

半ば強引に1人部屋にされてしまったホテルの部屋に、安里は足を踏み入れた。

ベッドは2つ並んでいるのに対し、この部屋に入るのは1人だけだった。

「――また、仲間外れにされた…」

安里はそう呟くと、ベッドの前で座り込んだ。

ポロポロと目から涙がこぼれ落ちてきた。

「――もう、ヤだよ…」

涙に耐えることができなくて、安里は両手で顔をおおうと泣き出した。

やっと変わることができて、自由になることができて、小中学生時代に欲しくて仕方がなかった友達だってできた。

なのに、またつらくて暗いその時代に逆戻りだ。

無視されて、仲間外れにされて、バカにされて…何で、自分はこんな目にあわないといけないのだろうか?

ただ、みんなと同じ学生生活を送りたいだけなのに…。
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