【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「もうこの際、金子は1人班でいいんじゃね?」

男子の誰かがそう言った瞬間、教室は大爆笑に包まれた。

「それ、マジでヤバいわー」

「あたしたちの班に入られてもウザイだけだし、ありかもね」

安里は泣きそうになった。

最終的に、担任がヨリコに説得をして安里は彼女たちのグループに入ることになった。

宿泊先のホテルの部屋割を決める時、
「あたしたちは4人部屋で、金子さんは1人部屋でいいよね?」

安里の意見も聞かずに、ヨリコがメンバーに向かってそう言った。

「賛成!」

「グループだって嫌なのにホテルも一緒だなんて、マジでありえないから」

「だよねだよねー」

「えっ、あの…」

安里が意見を言う時間を1秒も与えないと言うように、
「先生、ホテルの部屋割決まりましたー」

ヨリコは担任に報告をしていた。

楽しいはずの大阪での修学旅行は、安里にとって精神的につらいものへと変わって行った。

この日を休みたい、中止になって欲しいと何度願ったことだろうか。

しかし、安里の願いはかなうことなく、あっと言う間に当日を迎えた。
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