偽りの副会長に恋をした
【梓side】

ホント最悪!!どうせなら、まだ会ったことのない生徒会長の方が良かったなぁ…

「あはは、今度は僕がぶつかりそうになったね。所で、君は何の用かな?」

…この人、知ってるのにわざと聞いてる?

「…担任に頼まれて、作成した資料を届けに来ただけですよ。それより、副生徒会長さんはその事を知ってますよね?知ってるのに、わざわざ聞きますか?」

「…へぇ?思ったより鋭い子だね?どうしてそう思うの?」

「…『女の勘』ってやつですよ」

「『勘』…ねぇ?」

「もういいですか?私、早く帰りたいので。それに、教室にカバン置きっ放しなので失礼します」

そう言って、この場を離れようとした。こちらを探られてる気がして、いい気分ではなかったから。

「ふ〜ん…そんなに僕が嫌い?じゃあ、このカバンどうしよっかな〜?」

「何を言って…ッ!?」

最初は何を言いたいのか分からなかった。

だけど、振り向いてみると何故か副生徒会長さんの手には、私のカバンが握られていた。

「それ、私のカバンですよね?どうして貴方が?」

「さっき、高嶋先生に渡されたんだ。君、高嶋先生のクラスの子だったんだね」

あの先生…余計なことを!!上手いこと、この場から離れられると思ったのに!!

「まぁせっかくだし、君を家まで送るよ。最近、若い女性に怪我を負わす事件が多いしね」

「…私は大丈夫ですから。それより、早く私のカバンを返して下さい」

早く返してほしいのに、副生徒会長さんはカバンを返してくれる気は全くないようだ。

この人…無理矢理にでも一緒に帰ろうとしてるな!?

「僕と帰ろうか?」

なんだろ…笑顔で言うこの人に、殺意が芽生えてくるのは!?

「後さ、そろそろ名前教えてくれない?流石にずっと『君』呼ばわりするのも気が引けるから」

「はぁ…分かりました。私の名前は尾方梓です」

もう諦めた←

この副生徒会長を、振り切って帰るのは無理だろうと悟ったから

「うん!尾方さんね。僕は立花龍樹、よろしくね!」

いや…こっちは貴方を知ってますから。

入学式で挨拶してたよ!?というか、自分が有名人だって知ってるよねこの人!!?

またわざとなの!?

「では、早く帰る支度をお願いします」

「おっ!気が強い子だね。じゃあ、準備してくるから校門付近で待ってて」

そう言い残し、立花先輩は私のカバンを持ったまま、何処かに行ってしまった。

「…私のカバン、いつ返してくれるの!?」

…うん、今日は本当に厄日だと、私は確信したよ←




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