銀色の月は太陽の隣で笑う

重量オーバーで中板を壊してしまったのは、もうずっと前のこと。


「そっか……。慎重に扱うって言ったのに、早速壊したのかと思って焦ったよ」


ホッとしたように肩の力を抜いたトーマは、今度は先ほどより慎重に棚を持ち上げた。


「それじゃあ改めて、大切に運ぶよ。これ以上壊したりしないように」


そうっと棚を気遣うように階段を下りていくトーマに、何か言葉をかけようかと悩んで、結局何も言わずにルウンはくるりと背を向ける。

こういう時は、本当ならなんと言うべきだったのか――“ありがとう”か、それとも“そんなに気を使わなくても大丈夫”か、考えながら箒を動かしていたルウンの耳に、下から自分を呼ぶトーマの声が聞こえた。


「これ、どこに置いたらいい?」


そう言えば決めていなかったと思いながら、ルウンは階段からひょっこりと顔を出して、とりあえず目に付いた場所を指差す。

ひとまず、階段を上り下りするのに邪魔にならなければいいだろう。


「じゃあ、他の物もこの辺に置いちゃうけどいい?」


コクっと頷いて見せてから、ルウンは急いで自分の持ち場に戻る。

さっさか箒を動かしていると、トーマが階段を上ってくる足音が聞こえた。



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