銀色の月は太陽の隣で笑う
どちらが正解なのかは結局分からないけれど、ひとまずこれだけはとルウンは口を開いた。
「そろそろ、雨、多くなる。だから、あの部屋……ずっと、使っていい」
部屋を貸そうと決めた時から、ずっと言おうと思っていたことだった。
ルウンの方を見て驚いたように目を見開いたトーマは、しばらく何も言わない。
だからルウンも、それっきり口を閉じて黙り込んだ。
しばらくの沈黙のあと、トーマは遠慮がちに「本当に、いいの……?」と尋ねる。
ルウンが迷いなく頷くと、途端にトーマの表情がぱあっと華やいだ。
「嬉しいよ!ありがとう。そっか、そろそろ雨季なんだね。どうりで最近は風も湿っぽくなってきたと思ったよ」
そっかそっかと言いながらナイフとフォークを皿に置いたトーマは、姿勢を正してから改まって頭を下げる。
「何から何まで、本当にどうもありがとう。改めて、しばらくお世話になります」
自分に向かって下げられたトーマの頭を見つめながら、ルウンは返す言葉を探して黙り込む。
こういう時にはなんと言葉を返すのがいいのか、考えてみても正解がちっとも分からない。
また困ったような微妙な表情を浮かべるルウンに、顔を上げたトーマはにっこりと笑って見せた。