銀色の月は太陽の隣で笑う

トーマが一階から苦労して持ってきた机も、造りがしっかりしていて、この先何十年でも余裕でもちそうな力強さがあり、揃いの椅子の方は、背もたれに繊細な掘り細工が施されている。


「トウマの、枕元に置く?」

「……遠慮しておこうかな。威圧感が凄すぎて眠れなくなりそう」


じゃあこっちに、とルウンが指差したのは窓の近くで、部屋の最も奥まった壁際。


「好きに、使って」

「いいの?ありがとう」


トーマが重たい机を何とか部屋の奥に設置すると、ルウンが揃いの椅子を運んでくる。

二つ合わせると、薄暗い屋根裏には不釣合いな重厚感が漂った。


「早速だけど、ちょっとだけ座ってみてもいい?」


なんだかワクワクした顔のトーマに、ルウンは不思議に思いながらも頷いてみせる。

椅子から離れたルウンに代わって近づいたトーマは、慎重にそこに腰を下ろした。

そうやって立派な机に向かっていると、“物書き”と言う言葉がよく似合う。

着古した旅装ではなく、ラフでも仕立てのいい服を着ていれば、きっと更に。
< 79 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop