銀色の月は太陽の隣で笑う
ふとキッチンにいるルウンに視線を向ければ、二人分の食器は、既に泡まみれになっていた。
水の流れる音を聞きながら、やはり自分の出る幕はないようだと、トーマは階段を上っていく。
二日かけて片付けた屋根裏は、物置であったのが嘘のように、ちゃんと“部屋”になっていた。
足がなんだか短くてもベッドがあり、屋根裏にはそぐわないような机と揃いの椅子があって、その他にもチェストやら本棚やら丸椅子やらテーブルやらと、置いている物に統率性がないため、部屋全体の雰囲気がちぐはぐなであることは否めないが、それでも部屋は部屋だった。
「……ここを、好きに使っていいのか」
“好きに”とは言われても、きっと自分は大半の時間を下の階で過ごすだろうと思いながら、トーマは部屋の奥にある机まで歩いて行って、揃いの椅子に腰掛ける。
「うん。やっぱり何度座っても、気分は偉い作家先生だ」
自分のような、駆け出しでしかも旅をしながら書いているような物書きにはまだまだ遠い世界だけれど、その世界に身を置く人物を思い起こし、気分だけでも浸ってみる。