銀色の月は太陽の隣で笑う

“紅茶にジャム”初めて知ったその情報をノートに書き込んで、その横にルウンはよくそうしてお茶を飲んでいることも加えておく。


「よし」


こうしてルウンの何気ない日常をノートに記していくことが、今のトーマの日課でもあった。

そうして知り得たことをまとめて、いつかはルウンの日常を一つの物語として完結させる。

物語調に書くつもりではいるけれど、そこにはれっきとしたモデルがいて、その日常は本物だ。

自分が想像したキャラクター達が頭の中で動き回るのではない、実際に目の前で忙しそうに動き回る少女がいる。

その初めての試みに、トーマの心は踊っていた。

物語の舞台としては申し分ない洋館、そこに暮らす、それこそ物語の中から抜け出してきたかのような銀色の少女。

しばらくトーマは、目を閉じて思考に耽る。

気がつけば、階下から聞こえていた片付けの音が止んでいた。

シーンと静まり返った部屋に、屋根を打つ雨の音だけが響く。

やがてトーマは、深く息を吐きながら目を開けた。

けれどすぐさま


「ああ……お腹いっぱいでなんだか眠い」


ベッドに仰向けで倒れこみ、体の下で木枠が不吉な悲鳴をあげているのも構わずに、寝返りを打って再び目を閉じた。





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