溺愛なんて聞いてない!

「北王子君。こんなところに居たの?お昼一緒に食べよって言ってたのに」


煩いくらいの騒がしさに戻った教室のドアから新しい声がして、現れたのは美人と噂の3年生の先輩だった。

最近よくこの人と一緒にいるんだよね。
短いスカートから伸びる綺麗な足の白さが眩しい。

煌は足フェチだろうか。


煌の周りには綺麗な足の人が多いような気がする。


名前はもう忘れてしまったけれど、先輩の登場で再びざわついた同級生たちの話のネタは彼女に変わっていて、私の時とは天と地ほど違う称賛の台詞に苦笑しかない。


「ね、最近一緒にいるよねあの先輩」
「北王子君の彼女かな」
「並んで見るとすっごい迫力!」
「ねーめっちゃお似合い」
「美男美女ってあるんだねー」


きっと先輩にも聞こえているであろうその会話に口の端を持ち上げて、満面の笑みで煌を見上げた。
そして教室の中だというのに甘えた声で煌に囁いたのだ。誰よりも煌のそばにいるのは自分だと周りに誇示するために。



「ね、煌。一緒に行きましょう?私、お弁当作ってきたの。初めて男の子に作って来たのよ?それとも午後からお休みすることにして煌の部屋で一緒に食べない?私、煌のお部屋に行きたいわ」



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